Initiativesくうねあの取り組み

2025.08.06

子どもたちの「安心できる場所」を創る。保育への尽きない探究心でクラスをリード

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保護者ライター執筆
この記事は、くうねあの園児・卒園生の保護者の方に取材・執筆を行なっていただきました。
みささん

広島市にある認定こども園くすの木「お山園舎」で幼児リーダーとして活躍する、佐々木美沙(みさ)さん。入社8年目を迎えた彼女は、いつも明るい笑顔で子どもたちや保護者を安心させてくれる存在です。そのポジティブなエネルギーはどこから来るのでしょうか。介護職からの転身というユニークな経歴を持つみささんに、保育への想いや子どもたちと向き合う上で大切にしていることを伺いました。

介護職を経て、本当にやりたかった保育の道へ

意外にも、みささんの社会人としてのキャリアは介護職からスタートしました。

–みささん

「高校が総合学科で、ホームヘルパー2級の資格が取れるコースにいたんです。中学校の職場体験で介護施設に行った経験から介護の道へ進み、4年ほど勤務しました。介護福祉士の資格も取得しています。」

しかし、心の奥には幼い頃からの夢がありました。

–みささん

「保育園に通っていたときから保母さんに憧れていて、ずっと保育士になりたいと思っていました。金銭的な理由で一度は大学進学を諦めましたが、『やっぱり自分がやりたかった保育の道に進みたい』という強い想いから、介護職を退職することにしたんです。そこから大学で学び直し、念願の保育士になるという夢を叶えました。」

みささんは「一度諦めかけた夢を叶えられた経験があるからこそ、子どもたちにも『本当にやりたいことは叶えられる』と心から応援できるんです。」と話してくれました。その言葉には、自身の経験に裏打ちされた確かな説得力があります。

「子ども主体」の保育との出会い

保育士として新たな一歩を踏み出したみささん。くすの木との出会いは、祇園園舎の新規オープンがきっかけでした。前職の園では非正規職員だったため、なかなかメインで保育に関わることができず、『自分の保育をしたい』という想いが募っていたと言います。

–みささん

「数ある園の中からくすの木に惹かれた理由は、子ども主体の保育を大切にしているからでした。それまで働いていたのは一斉保育(*1)の園だったので、『子ども主体』という言葉にすごく新鮮さを感じたんです。子どもたちのことを中心に考えているこの園で働きたいと思いました!」

(*1)保育士が決めた指導案やカリキュラムに沿って、子どもたちが一斉に同じ活動をする保育法

現場に寄り添う「幼児リーダー」としての役割

現在、幼児リーダーを務めるみささん。その役割は、運営を担う主任とは少し異なり、より現場に近い立場にあります。

–みささん

「マネジメントにも少し携わるのですが、それよりも他のスタッフさんの思いをしっかり聞いて、現場と運営の橋渡しをするのが役目かなと思っています。『みんな今どんな想いで働いてるのかな?』と気にかけてコミュニケーションを取ることを、すごく意識していますね。仕事量は増えて大変だけど、それがやりがいにもなっています。」

保育の根幹にあるのは「安心できる場所」であること

保育をする上で最も大切にしているのは、子どもたちにとって保育園が『安心できる場所』であると話してくれました。

–みささん

「私自身、子どもの頃に保育士さんがすごく優しくしてくれて、安心できる存在でした。その経験があるから、保育士になりたいと思ったんです。そして今度は自分が、子どもたち一人ひとりにとっての『安心できる大人の一人』になりたいと思っています。」

くすの木は幼児以降、縦割り保育となります。毎年クラス環境が大きく変わる中、みささんはどのようなことを意識してクラス運営をしているのか、訊ねてみました。

–みささん

「どうしても新たなクラスでのスタートとなる春先は、子どもたちが不安になりがちです。そんな時こそ『生活リズムを整えること』を最優先にしていますね。毎日の流れが同じだと、子どもたちは見通しが立って安心できるんです。まずその土台を作ってから、一人ひとりの興味関心を観察して仲良くなり、遊びを広げていきます。あとは、お山だと幼児は2クラスあるので、大人同士の連携を取ることを大切にしています。関わる大人によって方針が違ったら、子どもも迷ってしまうと思うので…。」

異年齢のクラスだからこそ意識していることとは?

–みささん

「早くクラスをまとめたいとか、一致団結したいって思ってしまうんですけど、関係ができていないのに焦っても仕方ないなと。やっぱりそらさん(年少)とにじさん(年長)では経験も違う分、にじさんベースにするとそらさんに無理させてしまうこともあるので、まずは『クラスの土台作り』という部分を大事にしていますね。」

尽きない探究心とポジティブな人柄

ご自身の性格を訊ねてみたところ、『自己肯定感が高くて、楽観的でポジティブな性格』とのことでした。その言葉通り、仕事で壁にぶつかっても、長く引きずることはないようです。

–みささん

「何かあったときも、反省は一瞬です。反省している間に、『もっとこうすればよかったんじゃない?』とアイデアが浮かんでくるので、すぐに切り替えて行動に移すことが多いですね。」

その探究心は園の中だけにとどまりません。帰宅後や休日も、どうしたらもっと保育が良くなるかを自ら進んで調べているそうです。

–みささん

「決して『仕事を持ち帰っている』というネガティブなのものではなく、『もっと良くしたい』というポジティブな気持ちで行動しています!」

仕事では積極的でエネルギッシュなみささんですが、『プライベートでは結構人見知りなんです…(笑)』と意外な一面も明かしてくれました。

多様な経験が強みに。異動も成長の糧に変えて

くすの木には複数の園があり、職員の異動もあります。みささんも祇園園舎でキャリアをスタートさせた後、戸坂園舎、そして現在のお山園舎と、複数の園を経験してきました。

–みささん

「戸坂園舎に異動した当初は不安もありましたが、行ってみるとその土地ならではの温かさや、小規模園だからこその良さがありました。慣れてきて『さあ、これから!』というタイミングで再び異動が決まった時は、正直後ろ髪を引かれる思いでしたね。」

しかし、こうした異動も彼女にとっては大きな財産です。

–みささん

「異動があることで、いろんな園のスタッフと顔見知りになれます。園ごとの集まりがある時に交流が生まれるのは、5園全体で同じ方向を向いて保育をしていく上で、すごく強みだと感じています。」

子どもたちと、そして保護者と共に

保育園はいずれ巣立っていく場所。これまで多くの子どもたちの巣立ちを見てきたみささんに、保育園での日々に込めた願いを聞いてみました。

–みささん

「小学校に上がると、どうしても時間で区切られた生活になります。だからこそ、この園にいる間は好きなことを思う存分にやって、自分の強みを見つけてほしいんです。」

みささんは、子どもたちが遊びに没頭する時間を大切にしているとのこと。その中で子どもたちは自ら考え、工夫し、時には友達とぶつかりながら、人として大切な力を育んでいきます。

–みささん

「遊びを通して、ここで『自分は大丈夫』という安心感と強い気持ちを育んで、小学校という次のステージに進んでいってほしい。私たちはその土台作りのお手伝いをしたいと思っています。」

おわりに

みささんの想いは、子どもたちだけでなく保護者にも向けられています。子どもが安心して過ごせる場所は、園と家庭が連携してこそ作られるもの。だからこそ、みささんは日々のコミュニケーションを大切にし、保護者の心にも寄り添っているのです。

常に子どもたちの最善を考え、学び続けるみささん。その明るさと優しさ、そして保育への情熱が、これからもくすの木の子どもたちと保護者を温かく支えていくことでしょう。

ライタープロフィール

端場さん[PTA 会員No.001]※
2016年生まれの息子と、2018年生まれの娘を持つ、県北育ちの2児の母。子どもは2人ともくすの木出身。くすの木の好きなところは「のびのびとした園風」「園児の主体性を重んじるところ」「親の昼ごはんよりも美味しい、こだわりの給食」。現在ライターとして、さまざまな媒体で記事を執筆。内々に秘めておくだけではもったいない、くすの木の魅力を余すことなく伝えるために、くうねあWebマガジンの運営に参加。「この保育園に通わせたい」「こんな園で働いてみたい」と思っていただける方を1人でも多く増やすのが目標。

※PTAとはParents Team Authors(執筆・保護者チーム)の略で、執筆を引き受けてくれた保護者の方たちのチーム名です。
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