Initiativesくうねあの取り組み
ただの移動手段じゃない。こだわりの園バスが彩る、くすの木の豊かな保育

- 保護者ライター執筆
- この記事は、くうねあの園児・卒園生の保護者の方に取材・執筆を行なっていただきました。

広島市にある認定こども園くすの木(以下、くすの木)は、保育園としては珍しく、園バスを所有しています。保育園は基本的に保護者が送り迎えをすることが多いのですが、なぜ園バス購入に踏み切ったのでしょうか。今回は堀江宗巨大園長に、園バス導入のきっかけと、園バスへのこだわりなどをインタビューしました。
なぜ保育園なのに園バスがあるの?くすの木での園バスの役割

ー西原や東原エリアなどで毎朝園バスを見かけますが、何のために走っているのでしょうか?
戸坂園舎から東原園舎、西原園舎から東原園舎へと、数名の希望者を送迎するために園バスを動かしています。毎朝、園バス運転手のひろさんが時間通りに運行してくれています。
ー園舎間で園児の送り迎えをしているのですか?
そもそもの発端は、東原園舎の開園がきっかけなんです。西原園舎しかないときに東原園舎を作る計画が持ち上がった際、0~2歳児を西原園舎、3~5歳児を東原園舎に分けようという話になったんです。ですが、西原園舎の保護者様より「幼児以上は東原に転園するとなると、遠くなって不便。朝は混むし登園が難しくなる」という意見をいただきまして…。
そこで、スタッフが元々西原園舎に通っていた園児を、希望者に限り毎朝東原園舎まで送り届けることにしました。戸坂園舎も同様に0~2歳児の受け入れをしており、3歳児以上は東原園舎に通うことになっています。
ー最初は送迎のために園バスを導入されたのですね。実際、保育園で園バスを所有しているところは珍しいのではないでしょうか?
そうですね。かなり少ないと思います。実際に園バスは一般車よりも高価ですし、中古車でも人気があるため、中々簡単には導入できないんです。くすの木は新車の園バスを購入したのですが、導入するかどうか本当に悩みました。ですが、スタッフのみんなが「園バスがあれば遠くへ出かけやすくなるし、保育の幅が広がりますね!」とよろこんでいたのを見て、購入を決めました。
北海道まで行って打ち合わせ!こだわりの園バスがやってくるまで
ー中古車でも園バスは手に入りにくいとおっしゃっていましたが、どこで購入されたのですか?

北海道北広島市の園バス専門店で購入しました。くすの木らしいデザインや、機能が叶えられるお店だったので、北海道まではるばる出向きましたね(笑)
ー北海道まで!それはすごいですね。ワーゲンバス風のデザインが珍しく、とても可愛いですよね。

園バスというと、キャラクターや可愛らしいイラストを採用しているところが多いので、みなさんによく言われます(笑)
本当はワーゲンバスを希望していたので、園バス専門店やいろいろな方に相談したのですが、古いものが多く維持が大変いうことで、断念しました。最終的に車体はトヨタのハイエースにしたのですが、デザインだけでもワーゲン風にしたいと思ったので、今の園バスになりました。
最初の希望とは少し違う形になりましたが、最新の車体や設備にすることで、子どもたちの安全を守りやすくなったと思っています。
ー以前、運転手のひろさんにお話を伺った際、園バスには安全装置が複数導入されていると聞きました。

子どもたちを乗せる車ですから、安全性は何よりも大切です。納車時には、車の周辺や車体の下までしっかり確認できるカメラや、接触防止レーダーの取り付けをお願いしていました。
その後、他県で園児バスでの置き去り事件が起きてしまい、行政からも事故防止装置の取り付け指導がありました。なので、エンジンを切ったあと、車体後方部のボタンを押すまで「車内を確認してください」というアナウンスが鳴る安全確認システムを導入しました。かなり大きめの音で聞こえますので、しっかり注意喚起ができているかと思います。
園バスで広がる保育の幅!スタッフの負担も軽減

ー園バスが導入される前の園外活動は徒歩移動でしたか?
そうですね。基本的に歩いて行ける範囲で、活動場所を検討することが多かったです。たまに遠方へ行くこともあっても、公共交通機関を利用していました。なので、バスや電車などを利用するためには、担任に加えてサポートスタッフが必要だったりして、行ける場所には限りがあったように思います。
ーやはりたくさんの園児を連れて、安全に遠方へ移動するのは大変ですよね…。園バスが導入されたことで、スタッフからどのような反応があったのでしょうか。
「活動の選択肢が広がった」とよろこばれました。基本的にくすの木では、子どもたちがその時々で興味を持っていることを軸に、さまざまな活動を企画しています。なので、遠足以外のタイミングでも、イレギュラーに園外活動をすることもありますね。例えば、子どもたちが虫に興味を持っている時期であれば、昆虫館へ行くこともあります。
園外での体験を通して、子どもたちの知的好奇心は大きく育まれます。実際に、さまざまな体験を通して目を輝かせている子どもたちを見ていると、より質の高い保育ができていると実感しています。
ーところで、園バスの車内が飾り付けされていることもありますよね。とても素敵な取り組みですが、これは誰のアイデアですか?

保育スタッフのアイデアです。写真の飾り付けは、にじ(年長児)のお泊り保育中に、星を見に行 ったときのものと記憶しています。そのときに、にじさん以外の子どもたちに飾りを作ってもらって、車内に飾り付けるというサプライズをしました。
園バスって、ただの移動手段だけじゃなくて、子どもたちにとって特別な空間になることもあるんだなと思いました。導入して本当によかったです。
おわりに
娘もくすの木の園バスで、何度も遠方へ出かけていました。園外でしかできない特別な体験をすることで、子どもたちの成長につながっていると、親も実感できています。園バスがあることで、いろいろな体験ができますので、ぜひこれからも園バスにはたくさん活躍してもらいたいですね。
ライタープロフィール
- 端場さん[PTA 会員No.001]※
- 2016年生まれの息子と、2018年生まれの娘を持つ、県北育ちの2児の母。子どもは2人ともくすの木出身。くすの木の好きなところは「のびのびとした園風」「園児の主体性を重んじるところ」「親の昼ごはんよりも美味しい、こだわりの給食」。現在ライターとして、さまざまな媒体で記事を執筆。内々に秘めておくだけではもったいない、くすの木の魅力を余すことなく伝えるために、くうねあWebマガジンの運営に参加。「この保育園に通わせたい」「こんな園で働いてみたい」と思っていただける方を1人でも多く増やすのが目標。
※PTAとはParents Team Authors(執筆・保護者チーム)の略で、執筆を引き受けてくれた保護者の方たちのチーム名です。