Initiativesくうねあの取り組み
くうねあを支える人 - 弁護士の長場先生のお話(前編)

- 保護者ライター執筆
- この記事は、くうねあの園児・卒園生の保護者の方に取材・執筆を行なっていただきました。

「保育園にも顧問弁護士がいるんですね」──
そんな驚きの声が聞こえてきそうな今回のインタビュー。
くうねあの顧問弁護士である長場先生に、くうねあとの出会いや、実際の業務内容についてじっくりお話を伺ってきました。 今回はなんとくうねあ大園長先生もご同席。保育園運営のリアルなお話に加え、長場先生との軽快な掛け合い、そしてお二人から語られる保育に関わる人たちへの、あたたかくも真剣なまなざしに触れることができました。
出会いのきっかけは、大園長先生との異業種交流会から
くうねあと長場先生のご縁は、約10年前にさかのぼります。 きっかけは、広島市で行われた異業種交流会。同じテーブルに着いた大園長先生と長場先生は、何度か顔を合わせるうちに自然と信頼関係を深めていきました。
ちょうどその頃、くすの木保育園では東原・戸坂に新しい園舎の開設準備が進められており、規模拡大にともなう法務面の支援が必要となっていました。
実はその頃、長場先生ご自身のお子さんも保育園に通われていたそう。
長場先生
「ちょうどその頃、自分の子どもが通っていた保育園の代表の方からも法律相談を受けることがあったんです。だからこそ、保育園における法律相談のニーズがとてもイメージしやすかったですね。」
顧問契約のお仕事は? ー “ 転ばぬ先の杖 ” としての弁護士
―裁判の場面をイメージする方も多いと思いますが、実際の業務内容はどのようなものなのでしょうか?
長場先生
「顧問契約のもと、普段は電話やメールでご相談を受けています。守秘義務やプライバシーの観点から詳しくはお話しできませんが、保育園に限らず他の企業でも共通するような内容が多いです。」
具体的な相談内容としては、 業務提携に関する契約書チェック、事業譲渡に関する助言など、いわゆる一般企業と同様の法務支援も行っているそうです。
大園長先生
「弁護士さんと聞くと、大きなトラブルを仲裁・解決していただくような、少しネガティブな印象があるかもしれません。でも実際は、契約書のチェックや権利に関わる業務に対しての書類・手続きの進め方など、事前の確認や助言をいただくことの方が多いんです。“転ばぬ先の杖”として、日々支えていただいています。」
長場先生
「今の時代は “予防法務” がとても大事なんです。一度トラブルが起きて裁判に発展すると、時間も費用もかかり、双方に大きな負担になります。そうなる前に相談を受けて、早期に手を打つこと。それが私の役割です。」
また、長場先生のサポートは日常の法律相談にとどまらず、法改正の情報提供なども含まれています。
長場先生
「つい昨年(2024)、民法が改正されました。その内容の一つとして共同親権(※1)の制度が創設されました。これにより、 例えば夕方のお迎え時に予定されていた保護者とは異なる親権者が現れた場合など、保育園としてどう対応すべきか考えておく必要があります。また、個人情報保護法も3年ごとに見直されていますが、改正内容が分かりづらいことも多い。そうした情報もトラブルを未然に防ぐため、代表の堀江さんに随時共有しています。日々の相談と法的視点からの最新情報提供、この二本立てでサポートさせていただいています。」
(※1)法務省:民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について
―(インタビュアー)私の周囲にも、ひとりで子育てをされている方がたくさんいます。保育園に法律の知見をもつ相談先があるというのは、大きな安心材料になると感じました。
長場先生
「たとえば養育費の問題などもそうですね。最近では、養育費調停等の費用を一部補助する自治体も出てきていて、 制度は少しずつ変化しています。こうした情報も、保護者の皆さんにお伝えできる機会があればと思っています。少し知っているだけで選択肢が広がるということもありますから。」
大園長先生
「長場先生は、スタッフからの信頼もとても厚いんですよ。実は業務だけでなく、個人的な相談にもよく乗ってくださっていて。保護者の皆さんの中にも、もし何か悩みや不安がある方がいれば、遠慮なくご相談いただけたらと思っています。」
また、地域ならではの課題に対しても、法の側から支える活動もされています。
長場先生
「近年の豪雨災害等を受けて、平成26年に広島弁護士会は災害対策委員会を立ち上げ、 災害時の権利擁護についての取り組みを始めました。保育園のように小さなお子さんが多くいる施設では、災害時の対応も重要です。今後は保護者やスタッフの皆さんにも、必要な知識を共有していければと考えています。」
世の中が目まぐるしく変化する中で、法的な視点から未来を見据え、安心を届けてくれる。
長場先生は、そんな心強い存在なのです。

長場先生ってどんな人? ー “ しぶとく ” 続けているコトや、海外でのご活動も
ところで、長場先生はどんな人?と気になる方のために、少しだけご紹介を。
昨年より、健康を意識して夜間にジョギングを続けられているそう。
長場先生
「健康診断の数値が年々気になってきたので、昨年の7月からジョギングを始めました。1日3.8km、月に25日以上は走っています。もう10ヶ月くらい続けていますが、体感的にも体が元気になってきた気がしています。体重も6kg 減りました。適度な運動を継続したらちゃんと健康診断の結果が変わるか、自分の体で人体実験中です(笑)」
さらに、外国人留学生を支援する団体で役員も務めており、帰国後の活動報告の場に招かれることもあるのだとか。昨年はベトナム・モンゴル・台湾を訪問されたそうです。
長場先生
「卒業後に母国で奉仕活動をしている学生も多く、たとえば孤児院で勉強を教えたり、奨学金制度を整えたりしています。そうした彼らの現地での活躍に触れられるのは、非常に嬉しいですね。」
編集後記
保育園と弁護士。一見あまり結びつかない関係のように思えるかもしれません。
けれど実際には、トラブルを未然に防ぎ、日々の安心を支える土台としての役割を担っていました。くうねあが、規模を広げながらも着実に成長を続けている背景には、そんな静かに寄り添う専門家の存在があります。
そして後編では、長場先生が感じる「くうねあならではの強み」や、企業としての魅力についても、さらに深くお話を伺っていきます。
(後編へつづく)
長場先生について
長場 誠(ながば まこと)弁護士
長場法律事務所
所在地:〒730ー0012
広島市中区上八丁堀8-10 クロスタワー6階
TEL:082-228-3155

証券会社勤務を経て、2007年に弁護士登録。金融分野の知見を活かしつつ、福祉・交通事故・行政審査などの幅広い分野でも委員や専門役職を歴任。
2015年より、くうねあの顧問弁護士として法務全般をサポート。契約書チェックから法改正の情報提供まで、日常や未来の安心を支える “予防法務” に力を注いでいる。
【主な経歴】
- 2009年 三原市高齢者虐待防止支援計画策定委員会・委員
- 2010年 三原市発達障害児・者支援検討委員会・委員
- 2013年 広島県介護保険審査会・委員
- 2016年 公益財団法人交通事故紛争処理センター広島支部・嘱託弁護士
- 2021年 広島弁護士会・副会長
- 2022年 中国地方弁護士会連合会・常務理事
- 2022年 広島家庭裁判所・家事調停委員
- 2024年 広島市固定資産評価審査会・委員長
ライタープロフィール
- 石井さん[PTA 会員No.002]※
- 2010年・2015・2017年生まれの三人の息子の母です。2013年に長男がくすの木保育園に入園したことをきっかけに、次男三男の卒園まで計11年間、我が子がくすの木保育園で過ごしました。卒園後も古民家で引き続き保育園時代のご家族と交流させてもらっています。今後はくうねあWebマガジンの執筆を通して、長年子どもたちがお世話になったことへのご恩返しができればと思っています。
趣味はお片付け。毎日三人の息子たちと戦いながらおうちを片づけています。
※PTAとはParents Team Authors(執筆・保護者チーム)の略で、執筆を引き受けてくれた保護者の方たちのチーム名です。