Initiativesくうねあの取り組み
運動会でも発表会でもない、くすの木フェスって何?子どもも大人も楽しそうな理由とは
- 保護者ライター執筆
- この記事は、くうねあの園児・卒園生の保護者の方に取材・執筆を行なっていただきました。
認定こども園くすの木(以下、くすの木)は現在、運動会や発表会ではなく、くすの木フェスという独自のスタイルの行事を開催しています。多くの保育園では運動会や発表会という形式を取っていますが、なぜくすの木はどちらも開催せず、くすの木フェスという形になったのでしょうか。
在園児の保護者も、入園を検討している保護者も気になる内容を、堀江宗巨大園長(おおえんちょう)に聞いてみました。
そもそもくすの木フェスとは何?どうやってはじまった?
くすの木フェスとは、日常の保育から派生したテーマに沿って、保護者と一緒に楽しむ行事です。例えば、お部屋で楽器の制作や演奏ごっこが流行っていたら、くすの木フェスでは森の音楽隊に扮してみんなの前で発表。転がしドッジが流行っていたら、フェスでも親子で楽しむ、というようにくすの木フェスのために特別な練習をするのではなく、あくまでも普段の保育をベースにしたプログラムにしています。
ここからは大園長に、なぜくすの木フェスを開催する運びとなったのか、理由を聞いてみました。
ー昔は運動会をしたことがあったと聞いていますが、きっかけを教えてください。
設立5年目くらいのときに、保護者からどうしても運動会を見たいとの声があり、西原園舎で運動会なるものを開催しました。当時の園児は20人程度と小規模。種目も日常の保育の延長で考えられたこともあり、子ども・スタッフ共々大きな負担にはならず、みんなで楽しめたんですね。これがきっかけとなり、運動会や発表会をするにしても、日常の保育の延長を核にしようと思いました。
ーくすの木フェスが誕生した経緯とは?
くすの木祇園園舎を設立した当初、100人規模の園の運営ははじめてだったので、まずはどの園も1年間大きな行事は計画せず、安定運営に努めようと思っていたんですね。とはいえ、まったく何も行事がないのも……という空気になり、運動会はできないけどそれっぽいことはしたいよね、という話になりました。
そこで、欧米のスポーツフェスをイメージした行事を開催することにしたんです。親子で体を動かすブースを作ったり、キッチンさんにカレーを作ってもらったり、保護者会には飲み物を販売してもらったり……と、いろんな内容でしたね。これがくすの木フェスの原型です。
スポーツフェスのような形だったり、文化祭のような形だったりと年度によって内容はさまざまですが、毎年くすの木フェスを行っています。途中、感染症の影響で中止した年もありましたが、基本的には開催する運びとなっていますね。
日常の保育の延長が基本!特別なことをしなくても楽しめる
くすの木フェスは、そのために特別なプログラムを考えたり練習したりするのではなく、あくまでも日常の保育の延長です。つまり、特別なことはしません。この形になった理由や、保護者や園児の意見を探ってみました。
ー日常の保育の延長を基本にしている理由を教えてください。
やはり、ベースとなる日常の保育が豊かでないと、園児もスタッフもイキイキしないからです。裏を返せば、日常の保育が充実していないのに運動会や発表会に力を入れても、誰か楽しくなさそうな人が出てくるかと。もちろん楽しみにしている子どもも多いと思うのですが、やはり全員が楽しめるかというと、そうではないと感じました。ですから、運動会のための・発表会のための保育にはしたくなかったんです。そういった経緯もあり、設立当初から運動会や発表会を考えていませんでした。
ー子どもたちはくすの木フェスを楽しんでいますか?
自分たちのやりたいことをフェスで行うので、盛り上がりがすごいですね!運動会や発表会が嫌いな子どもは少なからずいるのですが、くすの木フェスは全員が楽しめていると感じます。実際、くすの木フェスが終わったあとでも「今日もくすの木フェスごっこがしたい!」と、遊びの一部として根付いているほどです(笑)
ー保護者からの意見はどうでしょうか?
やはり「普通の運動会や発表会が見てみたい」とのお声もありますが、多くの方から「斬新」「従来の形にとらわれず先進的」「普段の子どもたちが楽しんでいることが分かってよい」とポジティブな意見が聞かれます。一般的な行事と形は違えども、わが子がのびのびと遊んでいる様子をご覧いただけるのは、保護者の方にとってもプラスになるのではないでしょうか。
大園長が考える今後の展望は?
最後に、今後のくすの木フェスの展望などを聞いてみました。
ー今後も運動会や発表会ではなく、くすの木フェスの形式を予定されていますか?
先ほどもお話ししたように、運動会も発表会もフェスも、普段の保育が充実していないのに行事ばかり力を入れても、全員の充実感や感動は生まれません。ですから、引き続き普段の保育を充実させることに注力し、園児とスタッフが楽しく過ごせる環境を作りたいですね。
もし、普段の保育で盛り上がるテーマがあれば、その内容に則した行事を検討することはあるかもしれません。例えば、園児たちがお祭りごっこで楽しむ様子が見られ、園全体でも盛り上がっていると、親子参加型のお祭りが開催されることは十分にあり得ます。
くすの木フェスも形骸化させずに、普段の保育を第一にして、これからもブラッシュアップしていきたいと考えています。
おわりに
従来の運動会や発表会のような行事とは違う、くすの木フェス。最初は戸惑う保護者も多いようですが、飾らないいつもの様子で、のびのびイキイキと発表する子どもたちを見ると、「くすの木フェスもいいね」という声がたくさん聞かれるそうです。運動会や発表会のために頑張るのもステキですが、くすの木の普段の充実した様子が見られるフェスも、とてもいいものですね。
ライタープロフィール
- 端場さん[PTA 会員No.001]※
- 2016年生まれの息子と、2018年生まれの娘を持つ、県北育ちの2児の母。子どもは2人ともくすの木出身。くすの木の好きなところは「のびのびとした園風」「園児の主体性を重んじるところ」「親の昼ごはんよりも美味しい、こだわりの給食」。現在ライターとして、さまざまな媒体で記事を執筆。内々に秘めておくだけではもったいない、くすの木の魅力を余すことなく伝えるために、くうねあWebマガジンの運営に参加。「この保育園に通わせたい」「こんな園で働いてみたい」と思っていただける方を1人でも多く増やすのが目標。
※PTAとはParents Team Authors(執筆・保護者チーム)の略で、執筆を引き受けてくれた保護者の方たちのチーム名です。