Initiativesくうねあの取り組み

2024.02.09

くすの木のキッチン―②
食育への違和感から生まれたくすの木の給食スタイル

くすの木給食の美味しい秘密を探るインタビュー、今回はその二回目。
くすの木の給食の基礎を作ってきた原清子さんと堀江大園長にお話しを伺いました。

まず最初、清子さんに堀江大園長の出会いからお聞きすると、

「堀江大園長から『今度、認可になるのでお願い!』って頼まれたのがきっかけだけど、その前も大事だから」と清子さんの大学時代の話から始まりました。

くすの木の給食のはじまり

清子さんは大学在学中、ボランティア活動で保育園へ。
そこで食事アレルギーの子に初めて出会った。当時は自分も含め周りの無理解に愕然とし、数少ない熱心な小児科医から除去食というものを初めて教えてもらった。
それから保育士の免許をとり保育と食に深くかかわることに。

「小さい子どもにとって、とにかく食べ物が大切。当たり前だけど、成長する体は全部食べ物からできているから」と清子さん。
食育の大切さを痛感したのだと。

それから、農業・環境問題に造詣の深いご主人と玄米食のお店を開き、
東広島市の幼稚園と縁があり給食の世界にどっぷりつかった。
そこで、栄養計算から衛生管理、行政の監査対応に書類手続きまでみっちり勉強。

そして、堀江大園長から冒頭のお誘いがあったらしい。

堀江大園長はというと
私立の給食では外部委託や外部搬入もよくあるけど
認可になるなら自園調理にこだわりたいと考えていた。

清子さんは堀江大園長と話して、若いけどこどもたちの育ちをしっかり考えている人だと決断。
それ以来、くすの木の給食の基礎をしっかりと築き上げることになった。
「委託だとこどもの顔が見えなくて、調理するスタッフは、ただ言われたものをつくるだけ。
ここでは調理師と保育士と保護者とこどものコミュニケーションが濃いの(笑)」
と清子さん。

若い時からこどもと食に深く向き合ってきたから、人が人をよび、くすの木との縁に繋がったのでしょう。

くすの木の給食費は高い!?

次に、くすの木の給食費は他の園より高いという噂があり
堀江大園長にそのことを聞いてみた。

「一般的には4,500円くらいでと行政から通達があるんですが、くすの木の給食費は月約7,000円です」
そして沸々とした思いも話してくれた
「月4,500円って、お昼とおやつで一日180円。
国もメディアもみんな『食育』が大事とかって言ってるけど本気かな?、と。
そこにすごく違和感を感じたんです。
こどもに安心安全な食事は大前提、
こどもや家族に食育が大事なのもよくわかる。
だからこそ、調理現場にはいいものを作るために
余計な心配はしてほしくないと思っているんです」

清子さんも大園長からお金のこと言われたことないと言いながら
給食費の高い要因として
「食材と調味料です」とキッパリ。
今までの豊富な経験と知見で、なるべく添加物の少ないものを吟味して購入するらしい。
例えば
お米は低農薬のものを三次の農家から直接購入(月に一度堀江大園長自ら買い出しに走る)。
油は化学処理でできた安価な油ではなく精製にこだわったサラダ油。
牛の飼料にも気を配り低温殺菌でつくられる牛乳などなど。
やはり食材と調味料への思いには切りがない。
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また、素材の味を引き出すことにも心配りしている。
「今の時代、普通に生活していれば刺激の強い味があふれています。
本来、旬なものを食べていれば、いろんな添加物がなくても美味しい。
こどもたちの体の中に入るごはんだから、自然な味付けをこころがけています」
清子さんのそんな言葉からも、こどもたちへの優しいまなざしが見える。

このくすの木の給食スタイルがあれば
今後も、食材の吟味や手間暇は次世代にも受け継がれて
こどもたちの体になっていくに違いありません。

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