Initiativesくうねあの取り組み

2024.12.12

「くすの木保育園を見つけて、これはご縁だと思いました」東原園舎・さやかさんのお話

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保護者ライター執筆
この記事は、くうねあの園児・卒園生の保護者の方に取材・執筆を行なっていただきました。

くすの木保育園には、長年他の園に勤めた後に転職し、くすの木で新たな一歩を踏み出すスタッフもいます。東原園舎の瀬来さやかさんもそのお一人。保育業界では通常、5年以上同じ園で勤める人が少ないそうです。さやかさんは新卒から11年も同じ保育園で勤めた後、一度保育の現場を離れ、再び保育士として戻られました。長年在園した園を離れるのも一大決心があったはず。次の保育現場としてくすの木保育園を選ばれた理由、これから取り組んでいきたいことなどを伺ってきました。

新卒から11年、保育園を離れて見えたもの

さやかさんはくすの木保育園に入社したのち、祇園園舎に3年、現在は東原園舎2年勤められています。インタビュアー(石井)の子どもたちも、以前さやかさんに担任を受け持っていただいたことがあり、子どもたちの卒園後、久しぶりにお会いできました。

―突然なのですが、保育業界では、同じ園で5年以上働き続けるのは珍しいことなのでしょうか?

そうですね。私の周りでもそれくらいの年数で退職される方もいらっしゃいましたね。その後の進路には大きく二つの道がありました。一つは異業種に転職される方、もう一つは他の保育園に転職される方です。保護者が保育園を選ぶように、保育士も自分の理想とする保育方針に合った園を探すことがあります。長く続けている方は、きっとその園が自分に合っているんだと思います。

―なるほど。そんな中11年勤めた保育園を退職されたきっかけは何ですか?

人間関係にも恵まれ、園の保育理念も自分のやりたい保育と近かったので、とても働きやすい環境でした。子どもに寄り添う保育ができ、自分が挑戦したいことにも取り組ませてもらえました。今振り返ると、くすの木保育園と似ている園だったと思います。当時は労働条件が厳しく、大変なこともありましたが、毎日新しい発見があったので、退屈したり辞めたいと思ったことは一度もなかったんです。ただ、11年経ったときに『一度立ち止まってみたい』という気持ちが湧いてきました。保育園の現場から離れて、自分が本当に保育が好きなのかを確かめたくなったんです。

―どれくらい休憩されたのですか?

実は1年間、保育の現場から離れていました。

―1年間も!!その間はどのように過ごされたのですか?

異業種の仕事に挑戦してみたり、小学校の放課後児童クラブで働いていました。子どもたちと関わるうちに、『やっぱり子どもが好きだな』と再確認しました。ただ、小学生と関わる中で、未就学児の小さな子どもたちともっと触れ合いたいという気持ちが強くなりました。それで、もう一度保育園で働こうと決めたんです。

―小学生と未就学児、それぞれの子どもたちと接して違いを感じましたか?

どちらにも関わった上での私の勝手なイメージなのですが、小学生には『指導』も入ってしまうなと。小学生の方が理解力があるので、コミュニケーションもテンポがいいんですね。未就学児の小さな子には『指導』は難しくて、どうやったら大人の思いを伝えられるかなとか、寄り添う過程が楽しいなと思いました。その寄り道のような時間の中で、ふと子どもと気持ちが通じたと感じる瞬間があって、私にとってうれしいことだと気づいたんです。そこからまた保育園で働こうと決意しました。

幅広い年齢の子どもたちと接して、再び保育園の現場へー

―くすの木保育園はどのようにして見つけられたのですか?

きっかけはハローワークの求人でした。当時は携帯でいろんな園の求人や保育理念を調べていたんです。その中で、くすの木保育園の『食う・寝る・遊ぶ』や子どもとの『対話』を大切にする保育方針に共感しました。自分が今までやってきた保育と似ていると感じて、ここで働いてみたいと思ったんです。実は唯一応募した保育園だったので、採用が決まったときは本当にご縁を感じました。

―素敵なご縁ですね。

はい。なんだか、巡り合えたなという感じがしました。

―保育の現場に戻り、くすの木保育園で働き始めて、最初の園とは違う点や試行錯誤されたことはありましたか?

どこまで寄り添うのか、どこまで対話するのかー。良い意味でたくさん悩み、考える機会になりました。例えば、子どもの遊びの中で少しでも危ないと感じることがあれば、最初から止めてしまうことが多かったのですが、それだと子どもが主体的に遊べる環境ではなくなってしまうこともある、と教えてもらいました。確かにそうだな、と。

ー子どもの主体性を見守りつつ、安全も管理する。バランスが難しそうですね。

そうなんです。また、最初の園では経験しなかった行事がいくつもあり、最初は『なぜこの行事をするのだろう?』と疑問に感じながら取り組んでいた時期もありました。当時、祇園園舎でペアを組んでいたゆうみさん(現・戸坂園舎の主幹保育教諭)にたくさん相談して、支えてもらいながら過ごした一年目でした。また、くすの木保育園では文字での発信がとても多いことにも驚きました。前の園でもクラス新聞はありましたが、入社当初は毎日作成していたんです。

ー毎日ですか…!通常の保育もある中で、本当に大変ですね。

今は週に一度のペースになりましたが、確かに月に一度のクラス新聞だけだと、『今、子どもたちの心がこう動いている』というリアルタイムの様子を伝えるのが難しいんです。保護者の方と送り迎えの際に1対1でお話しできないこともあるので、毎日ドキュメンテーションを作成することで、日常の保育の様子がより伝えやすくなったと感じています。

ー先生方が送り迎えの際にその日の様子を楽しそうに伝えてくださるのも印象的でしたが、ドキュメンテーションを通して文字で保育の様子を知ることで、他のお子さんたちの活動や園の新たな一面にも気づくことができました。保護者としてもとてもありがたかったです。

祇園園舎から東原園舎へーいろんな園舎で過ごして今感じること、これからのこと

ー祇園園舎で3年お勤めされた後、今は東原園舎に2年いらっしゃるそうですね。いろんな園舎を回って感じたことや、良かったと思うことを教えてください。

最初の園でも幼児さん(3歳以上)を担当していたので、祇園園舎でも幼児クラスを受け持ち、その後、東原園舎へ行ってもらえないかとお声がけがありました。それぞれの園舎で環境が大きく違いました。最初の園では11クラスあって、担任一人で25~26人を見ていました。祇園園舎では3クラスになり、一つのクラスに担任が二人。くすの木保育園が大切にしている『対話』は、その環境のおかげでより深めることができたんじゃないかなと思います。また、東原園舎も2クラスあるのですが、外遊びは2クラス合同で行ったりして、子ども同士の密な交流も生まれました。お部屋も隣同士で扉を開けて行き来できるので、大人も子どもも自由に行き来して、2つの部屋があってもみんなで一緒に過ごしているような感じでした。年長児さんには、就学に向けて給食後にお昼寝せず活動できる場所も別に用意されていて、環境がしっかり整っているなとも感じました。

ーなるほど。さやかさんが大切にされていた『対話』が、くすの木保育園でさらに実現できるようになったんですね。これからやってみたいことやチャレンジしたいことはありますか?

そうですね。今は園舎ごとに特色がありますが、もっと園舎同士で交流を増やしたいと思っています。特に西原園舎と東原園舎は乳児と幼児で分かれていて、祇園園舎のような異年齢交流の機会が作りづらいのが課題です。スタッフ同士で定期的にミーティングを行い、交流の計画を立てているところです。くすの木全体としても、行事が園舎ごとに独立している部分があるので、大人も子どもも刺激をもらい合える場を増やせたらいいなと思っています。また、これは私の個人的な思いなのですが、子どもへの観察の仕方や寄り添い方について、スタッフ同士で研修ができたらいいなと考えています。例えば、子ども同士が喧嘩して泣いている子がいると、泣いていない子に原因があるように見えがちですが、それぞれの気持ちや考えをもっと深く見つめられるような視点を共有したいなと。手をかけすぎると子どもの成長を妨げるかもしれないし、かといってただ見守るだけでなく、必要なときにしっかり手を伸ばしてあげられるように。スタッフみんなの引き出しを増やして、保育のヒントになる場が作れたらいいですね。最初の園でも先輩方にたくさん学ばせてもらったので、今度は自分がそういう場を作れたらな、なんて。ちょっと大きなことを言ってしまいましたが(笑)

ーありがとうございます。最後に、くすの木保育園に入って感じたことや、この場で伝えておきたいことはありますか?

実は、私こう見えてすごく人見知りなんです(笑)

ーえー!!全然見えないです。

本当なんですよ(笑)。でも、祇園園舎ではゆうみさんが積極的に話しかけてくださったおかげで、すぐに馴染むことができました。東原園舎に異動したときも、祇園園舎で一緒だったヒサエさんが気にかけて声をかけてくださって。本当にお二人のおかげで、新しい環境でも楽しく過ごせています。異動前は『うまくやっていけるかな』と緊張していたんですが、今では他のスタッフに『東原、めっちゃ楽しいよ!』って言っています(笑)

ー素敵ですね。先生方同士が大人同士でも寄り添い合っているのが伝わってきます。

そうですね。就職してからずっと人間関係には恵まれてきましたが、くすの木保育園は周りの方々が本当に温かいんです。やりたい保育を相談しやすい環境があるからこそ、安心して働けて、子どもたちにもきちんと向き合えるんだと思っています。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。子どもたち一人一人に寄り添う姿勢や、大人同士も支え合い高め合っていきたいというお気持ちがとても伝わってきました。これからもさやかさんらしい保育で、たくさんの笑顔が広がっていくことを心から応援しています。

ライタープロフィール

石井さん[PTA 会員No.002]※
2010年・2015・2017年生まれの三人の息子の母です。2013年に長男がくすの木保育園に入園したことをきっかけに、次男三男の卒園まで計11年間、我が子がくすの木保育園で過ごしました。卒園後も古民家で引き続き保育園時代のご家族と交流させてもらっています。今後はくうねあWebマガジンの執筆を通して、長年子どもたちがお世話になったことへのご恩返しができればと思っています。
趣味はお片付け。毎日三人の息子たちと戦いながらおうちを片づけています。

※PTAとはParents Team Authors(執筆・保護者チーム)の略で、執筆を引き受けてくれた保護者の方たちのチーム名です。
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