Initiativesくうねあの取り組み

2025.01.10

愛情たっぷりのおやつで子どもの成長を応援!くすの木のキッチンの取り組み

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保護者ライター執筆
この記事は、くうねあの園児・卒園生の保護者の方に取材・執筆を行なっていただきました。

広島市にある認定こども園くすの木(以下、くすの木)の給食は、園児からもスタッフからもおいしいと評判。それもそのはず、くすの木の給食は既製品や冷凍食品はほとんど使わず、調味料にもこだわって作っているのです。

また、くすの木で提供されるおやつは、ほとんどが手作りというから驚き。毎月の献立表を見ると「おにぎり」といった素朴なものから、「ケークサレ」などの大人顔負けのおしゃれなおやつまでバラエティー豊かです。

ではなぜ、くすの木では毎日のおやつが手作りなのでしょうか。給食調理リーダーである、管理栄養士の齋藤ゆうみさんに話を伺いました。

くすの木の給食についてはこちらの記事もご覧ください。
くすの木のキッチン―①管理栄養士が何人もいるくすの木の給食室
くすの木のキッチン―②食育への違和感から生まれたくすの木の給食スタイル

おやつに手間ひまかける理由とは

くすの木のキッチン

まずは、一番気になっていたおやつへのこだわりを訊ねてみました。

ーくすの木のおやつはほぼ毎日手作りですよね。市販のお菓子のようなものを提供している園も多い中、なぜ手作りにこだわっているのか聞かせてください。

まずくすの木の給食は「安心安全で美味しい給食」を目標にしています。その目標に近づくためには、やはり手作りが一番だと思っているんです。
手作りすることで、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままで食べてもらえるので、同じメニューでもより美味しく感じられます。美味しく食べることが、ゆくゆくは食べ物に興味を持つことにもつながるかと思うので、食育にも一役買っていると自負していますね。

ー家では手作りのおやつを出すのは難しいですしね。

そうなんです。日々働く親御さんはクタクタなので、おやつにまで手をかけるのは難しいですよね。だからこそ、園で手作りの味に触れさせることが、家庭支援的な役割を果たしているのではと思っています。ライフスタイルが大きく変わっているからこそ、園も時代に合わせて変わらないといけないと思っているんです。

お菓子じゃなく間食だから、いい

間食

栄養バランスが取れるよう考えられているのはもちろんのこと、どんなポイントを大事にして献立を考案しているのか、保護者目線で気になったことを聞いてみました。

ーおやつのメニューを考える上で、どんな点を大事にしているのですか?

子どもにとって、おやつも食事のひとつなんです。消化器官が未発達な子どもは、3食だけでは十分な栄養が摂れません。おやつ1食につき120~150kcal(ごはん1/2杯分くらいのカロリー)が摂れ、エネルギーになりやすい炭水化物(米や小麦粉など)がメインとなるようなメニューにしています。その上で、見た目が楽しめるようなメニューや、旬が感じられるようなメニューにしていますね。

ーくすの木のおやつは、いわゆる“お菓子”ではなく“間食”が多いですよね。あと小麦粉を使ったメニューもあまり登場しない気がするのですが…

そうなんです。甘いものは普段ご家庭で食べていると思うので、あえて園で甘いものにこだわらなくてもいいかなと思っています。ですが、甘いものは心の栄養にもなるので、完全にはなくさず、週1~2回ほど登場させるようにしています。

また、小麦粉を使ったメニューを控えているのも、理由があるんです。朝はパンを食べてくる子どもも多いですし、土日や夕食に麺類を食べる機会があるはずです。普段小麦粉を使った料理はたくさん食べているかと思うので、園では粉モノは週に2回までにしています。

ー実はいりこが提供されるのに驚いていたんです。というのも、私(インタビュアー)が小学生の頃、ほぼ毎日給食にいりこが登場していたのですが、食べにくくあまりいい思い出がなかったので…。子どもたちの反応はどうでしょうか?

子どもたちからいりこは人気ですよ!くすの木では、必ずいりこは煎って提供しているんです。香ばしさも出ますし、口にいれるとほろっと崩れるので、とても食べやすいんです。

ーたしかに我が家の子どもも、園のいりこは好きと言いますね…!いりこを導入した経緯があれば聞かせてください。

いりこはカルシウムの補給源にピッタリだからです。「牛乳にすればいいじゃない?」と思われるかもしれませんが、牛乳はアレルギーの子どもが多いですし、苦手な子どももいます。なので、牛乳=カルシウム源とするのは避けたいという思いがありました。
ウエハースなど、カルシウムを強化したお菓子もあるのですが、食品添加物が気になるので…。なるべく手を加えていない食品で、なおかつカルシウムが豊富となると、いりこが最適かなという結論にたどり着きました。

ーあとおにぎりが毎週月曜日に必ず登場しますが、何か狙いがあるのですか?

土日って、外食したりいろいろなものを食べたりしていますよね。だから、胃腸を整える意味で、おやつはおにぎりにしているんです。おにぎりにもバリエーションを持たせることで、子どもたちが飽きないように工夫しています。

新しいメニューだけが工夫じゃない

くすの木のキッチンメンバー

毎月の献立表を見ていると、現代的なものから素朴なものまで、実にバラエティー豊かです。子どもたちが美味しく食べられるよう、キッチンさんはどのような工夫をしているのか訊ねてみました。

ー新しいおやつは、どれくらいの頻度で登場しているのか教えてください。

特に決まりはありません(笑)くすの木の献立はキッチンスタッフが交代で考えているので、新作が1~2品登場するときもあれば、1品も登場しないこともあります。

ーなるほど。新しいものがよろこばれるのかなと思っていたのですが…

大人目線だと、新しいおやつは新鮮味があってよろこばれると思うかもしれませんが、子どもは食べたことがない食事に抵抗があることも多いんです。だから、新しいおやつを出しても、子どもによって反応がまちまちです。なので安心して食べられるよう、新しいおやつをどんどん出すのではなく、実験的にちょっとずつ取り入れるようにしています。

ーもしおやつで子どもからの評判が分かれるものがあった場合、どうしているのですか?

毎月キッチンスタッフが集まって、ミーティングを行っています。そのときに各園の残食や保育スタッフからの意見を聞いて、どう改善すれば喫食率が上がるのか、話し合っています。例えばプレーンの味付けで出したおやつがイマイチだった場合、「次はカレー味にしてみる?」などバリエーションを変えて、反応を見るようにしています。

ーちなみに、くすの木で人気のおやつは?

フライドポテトに、いももち、五平餅あたりが人気ですね。もちろん、手作りクッキーなど甘いものも人気ですが、意外としょっぱいおやつが好まれる傾向にあります。

ー最後に、美味しく食べられるよう工夫していることがあれば教えてください。

食感を大事にしています。米の炊き具合にしても、ぴったりの水加減よりも少し多めに入れるほうが、子どもたちの食べ具合が違うんです。また、柔らかいものばかり出しても噛む訓練にならないので、歯ごたえのあるものと柔らかいものをバランスよく組み合わせるようにしています。

おわりに

インタビュー後、ゆうみさんと話していると「息子さんは元気ですか?」と。息子の話はしていないのに?と不思議に思っていると「担当する園舎の子どもの名前は、全員覚えるようにしているんです!息子さんは祇園園舎にいたので覚えていますよ」とのこと!“給食だけ作ればいい”というスタンスではなく、積極的に子どもたちに関わることを大切にしているゆうみさんに驚いたエピソードでした。
キッチンさんはどなたも気さくに話してくれますので、給食で気になることがあれば、ぜひ聞いてみてくださいね。

ライタープロフィール

端場さん[PTA 会員No.001]※
2016年生まれの息子と、2018年生まれの娘を持つ、県北育ちの2児の母。子どもは2人ともくすの木出身。くすの木の好きなところは「のびのびとした園風」「園児の主体性を重んじるところ」「親の昼ごはんよりも美味しい、こだわりの給食」。現在ライターとして、さまざまな媒体で記事を執筆。内々に秘めておくだけではもったいない、くすの木の魅力を余すことなく伝えるために、くうねあWebマガジンの運営に参加。「この保育園に通わせたい」「こんな園で働いてみたい」と思っていただける方を1人でも多く増やすのが目標。

※PTAとはParents Team Authors(執筆・保護者チーム)の略で、執筆を引き受けてくれた保護者の方たちのチーム名です。
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